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サービス時間

制度の導入直前になって、ホームヘルプサービスの内容が修正されて身体介護と家事援助のほかに複合型ができました。サービスの内容も数度の変更があったそうです。四月のケアプランを立てていただくとき、「要介護5」の父の介護はすべて身体介護になってしまうのではないかと、私たちはとても心配でした。そうなると時給は四〇〇〇円以上になってしまいます。単純に計算してもランクの枠を大きくはみ出して、これまでどおりの支援が受けられなくなりそうです夫fそのうえ家事をお願いできないのでは、私たちの負担はますます重くなってしまいます。私はケアマネジャーの花井さんにざっくばらんにうかがってみました。「複合型でお願いできませんか?」「私どもでは利用者さんのサイドに立ってプランをお立てするので、少しも心配はいりませんよ。

サービス時間内を身体介護と家事援助にふり分ける混合型でしたら、利用料金は複合型にするより安いはずです」そういって胸を叩いた花井さんでしたが、六月のケアプランを立てる段階で見事に豹変しました。「ホームヘルパーの扱いをすべて身体介護で組ませていただきたいのです。やはりお父様は要介護5ですから…」そこで私は提案しました。「それじやあ、父を入浴させてくださいますか?」一九九九年の秋以降、父の入浴介助は姉か私でなければできなくなりました。そのころの父は数日間寝ついただけで痴呆の症状を一気に悪化させ、それに伴って著しく身体機能を低下させてしまったからです。入浴介助にはかなりのテクニックを要します。短時間しか父と接しないヘルパーさんたちではコツがつかめず、担えなくなりました「父はほとんど寝ています。そうでなければ椅子に腰かけてじっとしています。その間、ヘルパーさんはなにをなさっているのでしょうか。五時間の支援中、父にしてくさる身体介護といえば昼の食事介助とパッドの交換を二回ほどしてくださるだけですけどね」
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八五項目

「着替えは一人でできますか?」どの質問に対しても私は次のように答えました。「できるといえばできますが、できないといえばできませんし…」いいかげんな答え方をしていると思われるかもしれませんが、私としてはこれ以外は答えようがないのです。たとえ歩けても一時も目が離せません。痴呆末期の今でも好物ならじょうずに自食ができますが、 一方食いですから介助しないと完食できません。私たちが手を貸せばかろうじてトイレで用が足せました。促されてやつと衣服を脱ぎますが、まともには着られません。


このような質問事項が全部で八五項目ですが、これにすべて○×で答えていくには無理があります。そこで調査員が欄外にも補足を加えます。これには立ち会った家族の受け答えが影響すると思います。あわせて主治医の意見書も添えられて、介護認定審査会の判断に委ねられます。ちなみに意見書は内科医ではなく精神科の医師にお願いしました夫争結果は二か月後、郵送で知らせてきました。父は「要介護5」でした。確かなことはわかりませんが、最も重い「要介護5」と出たのは専門医の意見書が有効だったのでないかと想像しています。痴呆老親の介護は身体機能だけでははかれません。介護の負担は老親介護のなかで最も重く、むずかしいと私は思います。今後も痴呆介護に対する正しい理解と検討がなされるようにと願います。

介護料金

二〇〇〇年四月から介護保険制度がスタートしましたoこれまで行政支
援を受けていた人も受けていなかつた人も介護に無関心ではいられません。
四〇歳以上の人はすでに四月から保険料が徴収されているのですから、介
護はもう他人事ではなく「自分事」なのです。
また六五歳以上の人も、半年間の据え置き期間を終えて、いよいよ二〇
〇o年十月から保険料が徴収されるようになりました。
二〇〇〇年八月に入って、父のもとにも区の介護保険課資格賦課係から
「足立区介護保険料決定(変更)通知書」が送られてきました。同封されていたお知らせには、「介護保険は、介護の負担を社会全体で連帯して支えあ
う、強制加入の社会保険です」と説明があります。段階別保険料が設定され
ていて、非課税者の父は第二段階になっています。.因幽旧凶日□ が父の保
険料です。
半年で七二〇〇円、 一年だと一万四四〇〇円も支出が増えました。でも、
一か月に三〇万円以上もの介護保険の恩恵を受けているのですから、それ
くらいの負担はしかたぁりません。
介護保険制度の導入は、今後の少子高齢社会を見据えて、これまで家族
が支えてきた介護を社会で相互扶助して取り組むということだそうです。
介護保険料を納めることによって介護をみんなで支え合う。

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