「着替えは一人でできますか?」どの質問に対しても私は次のように答えました。「できるといえばできますが、できないといえばできませんし…」いいかげんな答え方をしていると思われるかもしれませんが、私としてはこれ以外は答えようがないのです。たとえ歩けても一時も目が離せません。痴呆末期の今でも好物ならじょうずに自食ができますが、 一方食いですから介助しないと完食できません。私たちが手を貸せばかろうじてトイレで用が足せました。促されてやつと衣服を脱ぎますが、まともには着られません。
このような質問事項が全部で八五項目ですが、これにすべて○×で答えていくには無理があります。そこで調査員が欄外にも補足を加えます。これには立ち会った家族の受け答えが影響すると思います。あわせて主治医の意見書も添えられて、介護認定審査会の判断に委ねられます。ちなみに意見書は内科医ではなく精神科の医師にお願いしました夫争結果は二か月後、郵送で知らせてきました。父は「要介護5」でした。確かなことはわかりませんが、最も重い「要介護5」と出たのは専門医の意見書が有効だったのでないかと想像しています。痴呆老親の介護は身体機能だけでははかれません。介護の負担は老親介護のなかで最も重く、むずかしいと私は思います。今後も痴呆介護に対する正しい理解と検討がなされるようにと願います。
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